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みみうち「授業におけるサポート3(共に学ぶために)」

2021年2月17日更新

2021.2 vol.9 

 聞こえにくい人の授業を行うとき、授業担当者だけでがんばっていませんか?周りの先生方や共に学ぶ子どもたちも協力者になってくれるはずです。共に学ぶ「輪」を広げるとき、3つのことがポイントになります。ぜひ、共通理解しておきましょう。

1.音の存在に気をつける。2.聞き取りやすく話す。3.雑音を減らす。

 3つのポイントは、「聞こえ」に配慮すること、「視覚情報」を活用すること、「周囲の理解」を得ることです。今回は「周囲の理解を得る」ための配慮についてお伝えします。

  聞こえにくい人は一人で生きているわけではありません。必ず周りに人がいます。周りの人にちょっとしたサポートをしてもらうと、ずいぶんと過ごしやすくなるものです。しかし、周りの人もどのようにするとよいのか分からないと、うまくサポートできません。サポートの仕方を確認すると、ほんのちょっとしたことで聞こえにくい人が話の内容を聴き取りやすくなったり、行動しやすくなったりするのです。

 

聞き取りにくいことを知る

 聞こえにくいとはどのようなことなのか、どのようなことが不便なのかを知りましょう。

 「きこえにくさ」は、人によってさまざまです。全体的に小さく聞こえたり、音がひずんでしまったりする場合があります。両耳が聞こえにくい場合や片耳だけが聞こえにくい場合もあります。機能的には問題がなくても、聴き取り方に困難がある場合があります。聞こえない状態からいきなりうるさい音が聞こえて、耳が痛くなる場合があります。聞こえ方の障害は人によってさまざまです。

 では、「どのように聞こえるか」、本人に確認したり、検査結果を説明できる機関(医療機関やろう学校など)に聞いてみたりしてみましょう。聞こえにくさを知るための学習会を開き、みんなで学んでみるのもよいですね。ろう学校では聞こえについての子ども・教師・保護者向けの学習・研修会を行っています。教育相談のページから申し込むことができます。

 聞こえを補うため、補聴器や人工内耳など、補装具を装用している人もいます。補聴器や人工内耳は聞こえない人にとって、見えづらい人のめがねやコンタクトのようなものです。使用している人が身近に少ないと、めずらしく感じることと思いますが、補聴器や人工内耳は、聞こえを補う大切なものです。小さなものなので失くしたり、気軽に扱って壊したりすることがありますが、精密機器であり高価なものです。大切に扱う必要があることは、周りの人も知っておいて欲しいことです。

 補聴器や人工内耳を装用すると、すべての音が聞こえるわけではありません。放送などマイクを通しての音は、肉声より聞き取りにくい場合があります。また、補聴器や人工内耳をはずす場面では、いつものきこえと全く異なります。水泳や野外活動など補聴器や人工内耳を装用していないときは、コミュニケーションが取りにくいだけでなく、危険が迫っているときに声をかけても伝わらないことがあります。周りの人は意識して手を振ったり、肩をたたいたりして、教えるようにする必要があります。

 声をかけても反応がないなど、いつもと異なる対応をする場合があります。これは、補聴器や人工内耳をはずしていて聞こえないからかもしれません。装用していても、電源が切れて聞こえなくなっていることもあります。本人が無視をしたのではなく、聴こえず反応できない場合があることを知ってください。装用していないときの聞こえの状態を確認しておくことも大切です。

   

その人に場にあった支援をする

 その人のきこえの状態によって、どのようなサポートが適しているかが異なります。補聴器や人工内耳を装用しているときは、特にサポートを必要としない人がいますが、装用していても聞き取りづらく、サポートが必要な人もいます。場面によって聴き取りが困難になる人もいます。本人にどのようなところに困っているか、どんなサポートが必要なのか、聞いてみてください。

 きこえにくさを補うサポートは、誰が話しているかを知らせたり、肩をたたいて音の存在を知聞きとれなかったことをメモで伝えている様子のイラストです。らせたり、書いて情報を伝えたりすると効果的です。場所を移すことが可能なら、騒がしい場所から静かな場所に移動するのも効果的な場合もあります。

 本人は聴こえていると思っていても、音の存在に気づかないので、聞こえなかった音は無かったこととして受け止めているだけかもしれません。突然の放送や話、物音など、音による情報の存在を知らせることは、情報保障の面からも大切な支援です。

 きこえ方に左右差がある場合は、よく聞こえるほうから話しかけるだけで聴き取りがよくなります。

 大勢の人がいるときは、人の声が雑音となって聞き取りにくいことを知っておくことも大切です。大切な話をするときは、静かなところや別室で話をするなど、配慮してください。

 聴こえにくい人も、自分の聞こえの状態やどのようなサポートが必要なのか、これまでの経験を基に考えておきましょう。サポートをお願いするときに説明できる力を身につけましょう。

  

必要以上に手を出さない

 聞こえにくくても、できることはあります。すべては難しくても、少しの支援でできるようになることもあります。

 何でも手伝ってあげるのは、周りの人の優しい気持ちの現れのようですが、聴こえにくい人にとって、できることややりたいことを邪魔していることがあります。どのような手助けが必要かは、本人の聞こえや成長過程によって異なります。できることは本人に任せて、周りは見守ってください。初めは時間が掛かったり、なかなかできなかったりするかもしれません。繰り返し経験したり、徐々に手助けを少なくしたりして、できるようになったりすることもあります。

 聴こえにくい人が経験することで、自分ができることとできないことを知ることは大切なことです。きこえにくい人に対するサポート3~共に学ぶために~

 聴こえにくい人が自分からお願いして、手伝ってもらうことが大切です。黙っていても周りがしてくれる環境に慣れると、本人はいつまでも成長できません。周りの人に協力を呼びかける力を身につけることは、社会生活においてとても大切です。

 

 聞こえにくいことは、さまざまな困難があります。しかし、周りの人の協力とサポートで、できることもたくさんあります。周りの人に理解を呼びかけ、援助を依頼する力を身につけるためにも、「聴こえにくい」ことを理解し、互いに協力し合おうとする気持ちが大切です。

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