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これってどんな意味?『フィッティング、マッピング』

2020年10月20日更新

2020.10 vol.6

 聴力検査の結果を表す「オージオグラム」について説明します。聞こえにくい人の聞こえを表したグラフです。

 聞こえにくい人は障害の程度や障害を受けた部位によって、聞こえ方がさまざまです。右の図1は、聞こえにくい人のオージオグラムの例を表しています。

 縦軸が音の大きさを表し、上に行くほど小さな音になります。横軸は音の高さを表し、右に行くほど高い音になります。赤い○印が右耳の、青い×印が左耳の聞こえ、黒い▲印は両耳に補聴器や人工内耳を使ったときの聞こえを表しています。赤と青の折れ線の下側が、補聴器や人工内耳をつけずに聞こえる範囲を表しています。黒の▲の下側は、補聴器や人工内耳などを使ったときに聞こえる範囲を表しています。オージオグラムを見ると、どれくらい聞こえているかが分かります。

 このオージオグラムの例を見ると、補聴器や人工内耳を使わないときは、かなり大きな音しか聞こえないことが分かります。人が話すときの普通程度の大きさは65dB程度で、図1中の黄色の枠で囲まれた部分に、人の会話の音の成分が含まれています。バナナのような形をしているので、「スピーチバナナ」と呼ばれます。補聴器や人工内耳を使っていないと、言葉としては全く聞きとれないことになります。

 次の図2-3は聞こえを模式的に表したものです。△が何も使っていないときの聞こえを、▲が補聴器や人工内耳を使っているときの聞こえを表しています。

補聴器や人工内耳を使っていないときの聞こえ補装具をつけていないときの聞こえを模式的に表しています。

補聴器や人工内耳を使っているときの聞こえ補装具を着けたときの聞こえを表しています。

何も使用しない状態では、会話音は聞きとれません。 使う人に合わせて調節した補聴器や人工内耳を使うと、必要な会話音が聞きとれるようになります。

 

フィッティング

 「補聴器を装用する人の聞こえに合わせ、調整をすること」を指します。

  補聴器は音を増幅し、大きな音を耳に届けます。音の高さをいくつかのブロックに分けて、それぞれの音の大きさを調節していきます。うるさすぎる音は痛みを伴うので、使う人のちょうどいい大きさに調節する必要があります。あるブロックの補聴器を使わないときの聞こえが100dB だとすると、その大きさの半分の50dB程度の音が聞こえるようにすることが一般的です。これを「ハーフゲインルール」といいます。

  また、室内の静かな環境や室外の広い空間では、音の聞こえ方が異なります。使う人の生活環境によって、いくつかのパターンをプログラムとして登録し、状況に適したプログラムを選択することで、より使う人の生活に合わせた使用が可能になります。実際の生活の中で使って、細かい調整を繰り返し、最適の聞こえになるようにします。

 蝸牛をピアノに見立てたイラストです。

マッピング

 一般的に「人工内耳の手術をした後、電極に流す電気信号の強さを装用する人に合わせて、調節すること」を指します。

 人工内耳は、直接聴神経を刺激し音を伝える装置です。そのため、蝸牛の中に聴神経を刺激する電極を挿入する手術をします。人工内耳の手術後しばらくして、電極に初めて電気信号を送る「音入れ」を行います。初めての感覚に驚かれる方が多いそうです。その後徐々に大きな電気信号を送り、人工内耳の聞こえに慣らしていきます。

 人工内耳は、電極ごとに出力が変えられます。電極には担当する音の高さがあり、細かく電気信号の強さを調節しプログラムを作っていきます。この作業を「マッピング」といい、完成したものを「マップ」といいます。はじめは出力を抑えますが、少しずつ使う人の聞こえに合わせ刺激を強くして、聴力レベルを向上させていきます。ある程度の大きさまで出力を上げたら、使う人の生活様式に合わせて微調節を繰り返します。

 人工内耳も使う人の生活環境に応じたマップを、いくつかのプログラムとして登録し使い分けることができます。人工内耳は直接神経を刺激するため、もとの聞こえにかかわらず、おおむね正常値付近まで聴力レベルを上げることが可能です。

 人工内耳は電気信号で直接神経を刺激するため、聴神経付近の顔面神経に影響が及ぶことがあります。そのため、繊細な調節が必要です。

 

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