外部専門家活用事業
本校の外部専門家活用は、平成20年度の文部科学省委託事業・長崎県教育委員会指定「外部専門家活用指導充実実践研究事業」により2年間の実践研究に取り組み始め、それ以降事業名こそ変わっていますが、外部専門家を活用しながら特別支援教育の専門性の向上に努めています。
【外部専門家活用事業の趣旨】
特別支援学校に在籍する幼児児童生徒の指導において外部専門家を活用し、医学的、心理学的などの専門的視点から助言を得ることにより、教師の専門性を高めて指導の改善を図るとともに、発達障害を含めた障害のある幼児児童生徒の指導や支援について研修することで、学校全体の専門性向上と特別支援学校のセンター的機能の強化を図る。
【本校の目的】
〇自立活動の指導における、目標設定や指導内容・方法の根拠を明らかにし、説明責任を果たすことができる。
〇教師が指導実践を振り返り、外部専門家の助言を教育的な視点で整理し、授業改善に役立てることができる。
【活用の具体的実施方法】 ※1回分の流れを以下記載。これを年間2回行う。
1.自立活動の指導を中心として、児童生徒の実態把握や目標、指導方法等の妥当性、評価等について、教師が課題と感じていることに対して、外部専門家に直接児童生徒の指導の様子を見ていただき指導・助言を受ける。
2.外部専門家から、対象とする児童生徒一人当たりに対して年間2回指導・助言を受けることを基本とし、児童 生徒の変容をお互いに確認し共通理解できるようにする。
3.外部専門家からの指導・助言は、他職種である専門家の立場から見たものであることを踏まえ、実際に学校の中で教員としての指導を行っていく際にはどのように取り入れていくべきか整理をした上で指導方法や手立てを修正していく。
4.外部専門家とのやり取りを行う際のツールとして、パワーアップシートを活用する。
<図1 パワーアップシート枠参照>
5.外部専門家の指導・助言を受ける際には、自立活動部や各部主事などが同行することで、受け手側の教員の一面的な解釈にならないようにすることや、両者の関わりをより円滑にする役目を果たす。
【取組の実際】
来校指導では、自立活動の指導に対して外部専門家から指導・助言をいただき、指導改善につなげることができています。外部専門家とのやり取りのツールとして活用したパワーアップシートには、「姿勢をとらせるときに、その姿勢は何のためにとるのか、目的に応じた姿勢を考えるようになった」「教師のさせたいという気持ちよりも、歩きたい、自分でしたという本人の気持ちを引き出していくことを大事にするようにした。以前より児童の様子を注意して見ながら指導にあたることができるようになった」「本人の自発的な反応を引き出すために、どのような活動が良いのか、本人の好きな刺激や発達段階も考慮するようになった」という旨の記述があり、新たな学びや気付きがありました。また、根拠をもって指導を工夫していくことで、教師の自信にもつながっています。
夏季休業中には外部専門家を招聘して研修会を行っています。研修会では学校での指導事例をもとにグループ協議を行い、その後に外部専門家のそれぞれの視点で指導助言をいただき、来校指導で個々の教師が得た学びを参加者全員で共有することができました。外部専門家とのやり取りで学んだことは、本校の児童生徒だけでなく、近隣の小中学校に在籍する特別な支援を必要とする児童生徒にも大いに生かせることです。
また、学校だけでなく、家庭やデイサービス等との連携を深め、一緒に児童生徒の力を伸ばしていけるように働き掛けていくことも大切なことです。今後、本事業を活用しながら、さらに学校全体の専門性を高めていきたいと考えています。併せて、外部専門家を活用した研修会などを校外に発信し、学びの機会を設けていくことも継続して行っていきたいと考えています。