１２月２４日（火）終業式

 　２０１９年・令和元年も、そろそろ終わろうとしています。若いときは、時の流れなどあまり気にもならないものですが、だんだん年をとると、時の経つのが早いなあと感じるようになるものです。あなたたちもいずれ、年をとります。今は分からなくても、あと４０年後のその時に、たぶん分かると思いますよ。
　今年は、なぎなた部の全国インターハイ第３位・陸上部の県高校駅伝優勝・放送部や商業クラブの活躍などが目をひく年でした。また２年生は、まつナビに懸命に取り組んでもらい、校内発表・今日の午前中の議場発表・そして最優秀賞を取った班は、２月に福岡で行われる九州大会への出場が決まりました。まつナビ、そのものについては、この間の表彰式の時にお話ししましたが、今日はそれに関連したお話しを少ししたいと思います。

 長崎県、そして松浦市は、よその地域と同様に、人口減少・人口流出という悩みを抱えています。そのためには、地元ふるさとの良さを再発見して、それをＰＲしていくことが求められています。まつナビは、地域の課題をどうやったら解決できるかを学んでいく取り組みですが、実はその過程で地元ならではの地域の良さを再発見する試みでもあります。
　例年松高の卒業生で就職する生徒のうち、４割から５割程度しか県内に就職していませんでした。しかし今年の３年生は、就職希望者の８割以上が松浦を中心とした県内就職になりました。ただし、県外に就職するのが決して悪いわけではありません。県外就職する３年生の皆さん、気を悪くしないで聞いて下さい。県外じゃないと自分の夢が叶えられない、という生徒もいたと思います。しかし長崎県も松浦市も、人口がこのまま減少していくと、県として市として、極めて困難な状況に陥ることは十分に予想されています。そんな中今年県内就職が、飛躍的に増えた原因は、いろいろあると思います。担任の先生のすすめや、県の教育委員会の方からのお話し、県外企業における早期離職率の高さや、県内企業の安心感や手厚いサポート、そして自宅から通うことで無駄な出費が抑えられるという経済的な側面など、たくさんの理由がある中で、まつナビによって地元・ふるさとの良さを再発見することが出来た、という側面もあったのではないかと思っています。自分の夢を叶えるために、ふるさとを離れることになった人も、いつか将来、チャンスがあればふるさとに帰ろう、という思いを抱いてくれていたら嬉しいです。
 　先日長崎新聞に、県立大学の学生が古着屋ショップを開いたという記事が掲載されていました。その学生は、以前からファッションが好きで、様々な洋服にすごく興味があったのだそうです。ただし、高校生の時まではお小遣いも少ないので、古着屋さんで安い洋服を買ってきて、それを様々に組み合わせて楽しんでいたのだそうです。そして大学生となって、アルバイトでお金を貯めて、小さなお店をオープンしたという内容でした。私は、正直すごいなあと思いました。誰かに頼らない・自分で出来ることを自分でするという、主体的な姿勢です。
　よく地元を離れ、都会に出て行く若者たちが、地元には魅力的な仕事がない・自分のしたい仕事がないと言って、都会に出て行くのを耳にします。しかしこの県立大学の学生は、魅力的な仕事は自分で作る・やりたい仕事は自分で作るという積極的な姿勢を持っています。誰か、魅力的な仕事をくれないかなあと待っているのではありません。田舎には何もないと嘆くばかりで、自分から動こうとしない・受け身の人とは、大きく異なっているなあと感じました。
　先日のなるには講座では、「お菓子のちあん」さんが、自分の夢だったお菓子屋さんを始めた話をされました。そしてこれからの夢は、自分の店を行列の出来る店にすることだと語っていました。松尾農園のカフェも、きっと始める時には、こんな田舎にカフェなんかやっても誰も来ないよとか、こんな高いコーヒーなんか誰も飲まないよと、さんざん言われたはずです。でも自分の夢を実現させるためには、誰かがしてくれないかなあと待っていては駄目だと、知っていたんだと思います。

自分の夢を実現させるためには、新しいものへの変革を恐れないことが、何よりも大切なことだと思います。そして誰かがしてくれるのを待つのではなく、地元ふるさとで自分が動くことが重要だということをぜひ知っておいて欲しいと思います。魅力的な仕事は自分が作る、素敵な言葉だと思います。