9月14日(月)の1校時に、ヨカゴト研究所代表の浜田直子様を講師としてお招きし、ボラン
ティア学習講座を実施しました。(※システム上、環境依存文字が使用できないため、いわゆる
「まゆはま」を、通常の「浜」に置き換えて掲載しております。)
浜田様からは次のようなお話がありました。

| 本日はボランティア学習講座として、私自身の経験や活動をもとに、「ボランティアとは何か」について考えてみたいと思います。 多くの人は、仕事とはお金をもらって行うものであり、ボランティアとはお金をもらわずに行うものだと考えるかもしれません。しかし私は、ボランティアとは単に無償で行う活動というだけではなく、「自分や周りをより良くしたい」という思いから生まれる行動だと考えています。 私は石工として、文化財の石垣修復や整備に携わり、長崎県内の文化財保護や、島原地域の石垣を活用した農地整備などの仕事を行っています。一方で、地域活動団体である「ヨカゴト研究所」を運営し、人と地域、自然をつなぐ様々な活動にも取り組んでいます。 例えば、地域の海岸でビーチクリーン活動を行っていますが、これはきれいな景色や自然を楽しませてもらっているからこそ、その環境を大切にしたいという思いから始めた活動です。清掃活動の後には、仲間と交流したりイベントを行ったりしながら、地域の魅力を再発見しています。 また、地域の歴史や文化を活用したプロジェクトの支援や、海の環境を学ぶ活動などにも参加しています。大学の研究者や漁業関係者から知識を学び、その内容を子どもたちにも分かりやすく伝えるために、海の生き物をテーマにしたゲームや体験活動を企画してきました。こうした活動は、一人ではなく、多くの仲間や地域の方々と協力しながら進めています。 ここで皆さんにお伝えしたいのは、「経済はお金だけで成り立っているわけではない」ということです。私たちは普段、経済というとお金や株価などを思い浮かべますが、実際にはそれ以外にも様々な資本があります。 人とのつながり、知識や経験、自然環境、時間、健康、文化など、多様な資本があり、それらが相互に関わり合いながら社会は成り立っています。お金だけを増やすことが豊かさではなく、こうした様々な資本を育てていくことが、本当の意味での豊かさにつながるのです。 私は、物事を「仕組み」で考えることが大切だと思っています。なぜその出来事が起こったのか、その背景にどのようなつながりがあるのかを考える視点です。 例えば、「風が吹けば桶屋が儲かる」ということわざがあります。これは、一見関係のない出来事が、実はつながっていることを示しています。このように、世の中には様々な因果関係や仕組みが存在しています。自分の周りで起きていることも、「なぜそうなっているのだろう」と考えてみることが大切です。 そうした仕組みが見えてくると、自分にも関われる小さなポイントが見つかることがあります。大きなことをする必要はありません。自分にできる小さな行動でも、その仕組みに働きかけることで変化を生み出せる可能性があります。 たとえ失敗したとしても、その経験は失われません。経験は資本として自分の中に蓄積され、次の挑戦に生かされます。成功しても失敗しても、自分の可能性や行動の幅は広がっていくのです。 コロナ禍で地域活動が難しくなったとき、私たちは「何かできることはないか」と考えました。そこで、子どもたちのけん玉活動を応援するため、けん玉運動会やスタンプラリー、オンラインイベントなどを企画しました。当初はそのような経験がありませんでしたので、調べながら挑戦することで、新しい技術や知識を身につけることができました。その経験が、その後の様々な活動や仕事にもつながっています。 皆さんにも、自分の周りの「こうなったらもっと面白いのに」という思いを大切にしてほしいと思います。その気づきこそが、自分や地域、そして社会を変える力の出発点になります。 |
講演の途中で、自分が持っている資本や、自分にできること、そして誰かにしてほしいことを書
き出すワークショップが行われました。その際、「自分一人では気づけなかったことも、他の人
と共有することで新たな発見がある。実際に、ある研修会では『帰り道を一緒に歩いてくれる人
がほしい』と書いた人がいたことで、参加者同士の交流が生まれ、楽しい思い出につながった。」
というお話もありました。

講演の後、質疑応答の時間が設けられました。
| 質問1 「ロシアでの経験について教えてください」
私は大学で彫刻を学んでいました。ものづくりが好きで、石やさまざまな素材を使った作品制作を行っていました。そんな中、以前からロシアという国に興味を持っていました。ある時、母が国際交流を通じて知り合ったロシアの海洋生物学者の方から招待を受け、ロシアを訪れる機会がありました。モスクワからさらに電車で移動した小さな村で暮らす人々は、決して豊かな生活をしているわけではありませんでしたが、近所同士で助け合い、いつも楽しそうに暮らしていました。 電気や水道が十分ではない環境でも、人々は手づくりの食べ物やお土産を惜しみなく分け合っていました。その姿を見て、「豊かさとは何だろう」と考えるようになりました。そして、お金だけではない豊かさや、人とのつながりを大切にする生き方を日本でも実践したいと思うようになったのです。 質問2 「小柄なのに大きな石を扱う仕事はどのように行うのですか」 現在の石工の仕事では、クレーンなどの機械を使って石を運搬します。私が扱う石には2トンを超えるものもありますが、人の力だけで動かすわけではありません。作業員同士が役割分担をしながら、機械を活用して正確に石を積み上げていきます。昔の石垣はもっと小さな石を使い、地域の人々が協力して積んでいたそうです。長崎県内には地域ごとに特徴のある石垣が残されています。機会があれば、ぜひ身近な石垣に注目してみてください。地域によって石の種類や積み方が異なり、それぞれに個性があります。また、石工の仕事は学歴や特別な経験がなくても始めることができ、働きながら資格や技術を身につけていける職業です。とてもやりがいのある仕事だと思っています。 |
最後に3年生の山口さんが、「ボランティアは人のために何かをしてあげる特別な活動だと思っ
ていたが、『こうなったらいいな』『まずやってみよう』という思いから始まるものだと学んだ。
お金だけではなく、人とのつながりや経験も大切な資本であることが印象に残った。自分にも小
さな行動から周囲に良い影響を広げる力があると分かり、勇気をもらった」と、感謝の言葉を述
べました。

生徒たちからは、次のような感想があがっていました。
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・これまでテレビなどでボランティア活動の様子を見たことがありますが、身近な場所で小 ・「どうしたら面白くなるかを考える」というお話を聞き、いいなと思いました。嫌いな作 ・社会全体が窮屈な生活になってしまったとき、「自分の何かが誰かの力にならないか」 ・ボランティア活動は、環境を保護したりするためのものだと思っていましたが、それだけ |